放送局などを通じていろいろな問い合わせがありますが、
一番多いのが「夕焼小焼」です。
夕焼は分かるが小焼とはなにかという質問です。
日本語で詩や歌を作るには、音数律といって、
音の数で韻律を組み立てます。
それには五七調とか七五調といって、五音と七音でまとめるのが
一番具合がいいのです。
五七五なら俳句だし、五七五七七なら和歌です。
民謡は大部分が七七七五になります。
「ゆうやけ」も、その次に「こやけ」という三音が来ることに
よって、口調がよくなるのです。同じような例として
「大寒小寒」とか「仲よし小よし」などがあります。
「ほうほう蛍」「ちんちん千鳥」なども似たような
ものです。
つまり、「夕焼」「大寒」「仲よし」などの調子を
整えるためのことばで「小焼」「小寒」「小よし」には
特別な意味はないのです。
ただ、俳句や和歌にも「字余り」といって
五音七音の枠をはずれることもあります。
芭蕉の
「枯れ枝に鳥のとまりけり秋の暮」
というようなものです。
童謡の「夕焼け小焼け」も「夕焼け小焼けで」と、
八音になっていますが、その「で」は助詞です。
七五調の謡ならどうしても七と五にしなくては
いけないということはありません。